奈良博三昧~至高の仏教美術コレクション~ [奈良・旅行]
奈良公園内には明治28年に開館した奈良国立博物館(愛称:奈良博)がありますが、
所蔵するエース級が勢ぞろい”奈良博三昧”がただいま開催中でございます
時は来た(ー_ー)!!
恥ずかしながら長年奈良に住んでいながらも奈良博は館外から眺めるばかりで、
この機会を逃すとまたしばらく遠ざかると思い1500円(当日券)を支払い厳かに入館。
約2000件にのぼると言われるコレクションの中から選ばれた245件のうち、
個人的に目が付いた数点の作品により日本仏教美術の歴史をたどって行きましょう
※三昧とは一つの対象に心を集中することを意味する仏教由来の言葉
意外と人が少ない(@_@)
訪れたのは8月14日(土)の午後4時ごろでしたがあまり人数は多くなく、
これなら十分なソーシャルディスタンスを確保しながらゆっくり見て回ることが可能。
ちなみに”奈良博三昧”はなんとすべて写真撮影フリーな大盤振る舞いです
お釈迦さま(・・?
まずこちらは”出山釈迦如来立像”と呼ばれる南北朝時代(14世紀)の木造金泥塗で、
お釈迦さまが山の中で6年もの厳しい修行をしたのち山から下りてきた時のお姿
苦行で瘦せこけたお釈迦さまは悟りの道へと歩みを進めるのであります。
※誕生釈迦仏立像もあり
損傷が痛ましい(/ω\)
いかにも年季の入った”如来立像”はどっしりとした堂々たる存在感を放ち、
奈良~平安時代に造られたとされる像は大ぶりな目鼻が特徴的
片手はもぎ取られていますが重厚感のある力強い表情は令和時代になっても健在です。
五重塔がある\(^o^)/
静岡県浜松市で出土されたという”瓦塔”はミニチュア素焼きの五重塔ですが、
隣にいる女性と比べても170cm近くあるもはやミニチュアではない(笑)
これも奈良~平安時代の作品で相輪・屋根・壁などが見事すぎるほど細かく表現。
浜名湖を望む山中で発掘されたそうですがコレが埋まっていたとかびっくりドンキーです
絵本ですね(^^♪
こちらは”絵因果経”といわれる釈迦の伝記を説く経典に絵を加えたもので、
下段の経典本文と上段の絵が対応しながら進行するさながら昔ながらの絵本
奈良時代に唐から伝わった原本を写して描かれたと考えられ、
奈良時代の絵本着色はもと8巻構成のうちのほんの一部でございます。
デカい!まるで絨毯(ー_ー)!!
いくつかある曼荼羅の1つ”両界曼荼羅”は2枚になる大きな鎌倉時代の作品で、
密教の世界を表す金剛界・胎蔵界からなる曼荼羅は継ぎ目のない大幅な絹
弘法大師空海が唐よりもたらした権威のある図像を踏襲するとみられるそうですが、
バチ覚悟でこの上にあぐらをかいて座りおもむろに瞑想してみたいです。
続いて”両界曼荼羅”ですが厨子入りのちょっと持ち運び出来そうなコンパクトサイズで、
一対の曼荼羅を麻布に描いて表裏に貼り合わせ厨子にはめ込んでおります
細く切った金箔を貼って飾る截金(きりがね)も丁寧に施されており、
もし鎌倉時代にこんなのが目の前で御開帳されたらそれこそあの世へ行きそう(笑)
まさにお宝(ΦωΦ)キラキラ
銅製の鍍金(メッキ)ですが”三鈷杵”はキラキラと黄金の輝きを放ち、
美しくカーブする鈷やにぎりの部分の把中央の丸い部分の鬼目がとても繊細
※両端1本の独鈷杵で両端5本の五鈷杵
平安時代後期に金剛杵は完成期を迎えたとされその優美さに思わず見惚れてしまいます。
ちなみにこちらの三鈷杵は川端康成氏が旧蔵されていたそうですよ。
中央にいらっしゃるのは”阿弥陀如来坐像”で平安時代の木造漆箔は穏やかなお姿で、
阿弥陀如来の来迎を受け極楽浄土へ往生するという日本人の仏教信仰の源。
阿弥陀さまが住む極楽浄土とは清らかなで楽しい世界なのです(行ったことないけど)
鹿様~(´▽`)
小さな銅製の鹿は”春日神鹿舎利厨子”は春日信仰と釈迦信仰が結びついた、
春日明神の本当の姿は釈迦如来とされる水晶をまとった作品
お釈迦さまの骨とされる舎利を鹿が背中にのせており馬にも見えますが角あります。
お釈迦さまと春日の神は同じ存在と昔は考られていたのですね。
ここも鹿様~(´▽`)
年季の入った彩絵が素晴らしい”春日龍珠箱”には春日明神が鹿に騎乗されており、
神仏習合の時代からの神仏分離の時代へと移り変わり鹿様も戸惑う!?
神と仏が織りなす美は今では考えられないですね。
あらかわいい(^^♪
まるで高校球児のようなくりくり頭の”南無仏太子立像”は聖徳太子の2歳の春で、
ふくよかな肉身から理知的な表情がこの時からもう垣間見えます
お釈迦さまをたたえる「南無仏」という言葉をもうこの歳でとなえたそうです・・・
大仏殿から二月堂まで(^^♪
最後にご覧いただくのは”東大寺曼荼羅”ですが室町時代に奈良の絵仏師による作で、
永禄10年(1567年)の兵火を受ける前の東大寺景観が描かれております。
二月堂は今に残す舞台造りになっているので左上にあるのがお分かりいただけるでしょうか?
そして下のほうの大仏殿前にはしっかり鹿も描かれています(笑)
奈良博の仏教美術コレクションがこれだけ勢ぞろいすると三昧という言葉がぴったりで、
8月17日(火)からは後期が始まっている”奈良博三昧”をまた見に行ってこうかな
<奈良国立博物館>
ホームページ⇒https://www.narahaku.go.jp/
価格:34,000円 |
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私は美術には疎いのでこういうのは見た事がありません(^_^;)
まぁ、仏像はお寺巡りをした時くらいしか見ないなw
お寺巡りの目的も、季節の花や紅葉とかを見るだけです(゚□゚)
by 英ちゃん (2021-08-21 01:15)
瓦塔はみかんで知られる三ヶ日で出土されたのですね。
知りませんでした。見つけた人はびっくりしたでしょうね。
by ハマコウ (2021-08-21 06:34)
機会を逃すともう見ることが出来ない物もありますからね。
しばらく美術館には行っていないので羨ましいです。
by 拳客 (2021-08-21 07:18)
こんにちは。
奈良博三昧、厳かに入館?お疲れ様です(爆)
BSテレビで特集番組をチラ見しました。「三昧」充実した展示物みたいですね。
「両界曼荼羅」細部の絵が気になる展示物・絨毯?です。
「三鈷杵」アニメに出てきそうなお宝?デコラティブです。
「南無仏太子立像」癒しある有難いお顔、聖徳太子みたいですが、2歳には見えないです。
東京での開催をして欲しい「奈良博三昧」です!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2021-08-21 11:54)
楽しまれたようで良かったです^^
そちらから、トーハク(東京国立博物館)に出張されたお宝もありますわ!
春日神鹿舎利厨子は見た記憶があります^^
こういうのを見ると神仏習合が本当に馴染んでいたんだよなーって感じます^^
明治政府は本当になんてことをしてくれたの!!(怒)
見てたらわたしも博物館に行きたくなってきた^^
by リュカ (2021-08-21 12:35)
真面目な渋い今回のブログ(笑)
だんだんと、こういうのがわかる年頃になってきましたよね^_^
by caveruna (2021-08-21 15:19)
見に行かれたのですね!
僕が行ったときよりも人が少ない感じだ
出山釈迦如来立像や南無仏太子立像の付近は
ずっと人がいて写真が写せなかったんです
やっぱり鹿様を見るとテンション上がるし
ありがたい気持ちになります
東大寺曼荼羅、鹿と人の戯れいる様子があってこそ
奈良なんだよな~って思います
by 藤並 香衣 (2021-08-21 17:57)
素晴らしい展示内容ですね。
そこまで行かれないのが、とても残念です。
by ヨッシーパパ (2021-08-21 18:11)
五重塔のミニチュアがあるぐらいなので、東大寺盧舎那仏像の
ミニチュアもどこかにあるのかも。
by tai-yama (2021-08-21 19:17)
拙ブログへコメントありがとうございます。
アート音痴ですが仏教美術、特に仏像は大好きです。
写真撮影OKなら行かなきゃ、でもいつになったら行けるんだろう?
by johncomeback (2021-08-21 21:22)
ここで 別世界にきたような厳かさ
歴史って美しい芸術を生んでますね
by ゆうみ (2021-08-21 22:47)
展覧会で写真撮影全部OKは珍しいですね!
こういうの大好き。先日も瑞巌寺の秘仏公開に行ってきました。
by mau (2021-08-21 22:57)
美術関係には疎いですが、制作時期が古いと聞くだけで歴史の重みは感じる事が出来ます。
撮影可能と言うのは嬉しいですね(^_^)
by ぼんさん (2021-08-22 06:46)
三昧ときくと私は“すしざんまい(寿司屋)”とか、
“中華三昧(インスタント麺)”が思い浮かびますが、
もともと仏教由来の言葉なのですね(・∀・)
歴史の深い大和の地、
そこにある奈良博物館に所蔵された美術品は
貴重なものが多くて見ごたえありそう!
お釈迦様の木像などもありがたみを感じますが、
やっぱり奈良というと昔から“鹿様”は
ゆかりが深かったのですね(^^)
by あおたけ (2021-08-22 07:02)
三昧>何気に使っていますが
仏教由来の言葉だったのですね^^
では・・集中して読み進めることにしましょう(笑)
すべて撮影可は嬉しいですね
奈良博の仏教美術コレクションの魅力
素晴らしさが、お写真からも伝わって来ます~!
随所に鹿様がおられるところが、奈良らしいですね^^
ご一緒したつもりで楽しませていただきました(*´ω`)
by raomelon (2021-08-22 13:04)
「聖徳太子と法隆寺展」を観に行った時に
この「奈良博三昧」の現代アート展の宣伝の様な雰囲気の
ポスターとチラシに興味を持って面白そうだなって思ったのですよー!
撮影OKな心の広い展覧会だったのですね^^
写真があると何度も見返せて楽しい。
その時気づかなかったことに写真で気づくこともあるし。
図録買えばいいじゃないは聞こえない方向です(笑
奈良博はさすが「鹿もの」が充実ですね!
背中に仏舎利を背負った鹿さんのお顔がとっても誇らしく見えました(≧∇≦)
by ちぃ (2021-08-22 15:32)
お釈迦様、箒で掃いているわけではなく、山を降りてきた杖なのでやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2021-08-22 18:27)
≫英ちゃん さん
私も美術に疎いですが見に行けばそれなりに楽しめました♪
しかしこれだけ集まるとどれを掲載すればいいか分からない(笑)
境内を楽しむのもお寺巡りの楽しみかたでもありますよね(^^♪
by yamatonosuke (2021-08-22 23:15)
≫ハマコウ さん
浜松市って三ヶ日のことだったのですか!
バイクツーリングで行ったので風景が思い浮かびます~
by yamatonosuke (2021-08-22 23:15)
≫拳客 さん
そう考えると記録に残りそうなブログになりそうですね♪
静かな美術館の雰囲気を久しぶりに味わいました。
by yamatonosuke (2021-08-22 23:16)
≫Boss365 さん
ひっそりと入館して来ました(笑)
そのBS特番見たかったなぁ~
予習して行ったらもっと楽しめたかも♪
こんな曼荼羅みたいな絨毯があったら上を歩けない・・・
三鈷杵はアニメとかで重要アイテムになりそうですね(笑)
聖徳太子は2歳にしては5歳のような出で立ち!
東京だと「奈良博三昧」ではなく「東博三昧」になるのかな(^^♪
by yamatonosuke (2021-08-22 23:18)
≫リュカ さん
初めての奈良博を楽しんで来ました☆
ここから東京出張されると思ったらちょっと感動~
春日神鹿舎利厨子がそちらへ行ってましたか!
神仏分離が当たり前と思っていたのでこれはまさに秘宝☆
明治政府はこの秘めたパワーを恐れていたのでしょうね(笑)
博物館の雰囲気いいですが絵画などは分かりません(≧◇≦)
by yamatonosuke (2021-08-22 23:19)
≫caveruna さん
えっ、いつも真面目で渋いブログですよ(笑)
見聞を広げるためにもたまには博物館もいいですね(^^♪
by yamatonosuke (2021-08-22 23:20)
≫藤並 香衣 さん
ぎりぎり前期に間に合いました(^-^;
人が少ないのはそのせいと時間帯もあったのかな。
人がいても待ってればすぐ空いてスムーズに全部見ることが出来ました☆
そしてやっぱり鹿の厨子に食いついちゃい、
ありがたい気持ちでしばらく眺めてました。
曼荼羅を見て今とほとんど変わってない東大寺境内ににんまり(笑)
鹿を含め変わってないのが奈良ですね~
by yamatonosuke (2021-08-22 23:20)
≫ヨッシーパパ さん
いろいろなお宝がぎっしりでした。
来ていただけないのがとても残念(≧◇≦)
by yamatonosuke (2021-08-22 23:21)
≫tai-yama さん
東大寺盧舎那仏像のミニチュアはまだどこかの山の中に埋まっているのかも(笑)
by yamatonosuke (2021-08-22 23:22)
≫johncomeback さん
しかもここでは間近に見ることできます☆
御本尊は写真NGのお寺が多いのでいいですよね。
見に来れない状況が非常に残念です(~_~)
by yamatonosuke (2021-08-22 23:22)
≫ゆうみ さん
ガラス越しですが間近で見ることが出来ました。
いいモノは今見ても美しいですね♪
by yamatonosuke (2021-08-22 23:23)
≫mau さん
写真NGだとブログに出来なかったので嬉しいはからい♪
全部ではありませんが皆さまにもご覧いただけて良かったです。
by yamatonosuke (2021-08-22 23:23)
≫ぼんさん
美術のことは良く分かりませんが時代背景を思うとすごいですよね。
写真撮影フリーとなんとも太っ腹な奈良博三昧でした(^^♪
by yamatonosuke (2021-08-22 23:24)
≫あおたけ さん
久しぶりに中華三昧を食べたくなりました(笑)
ちょっと高級感のある袋ラーメンですよね~
三昧は現代用語かと思ってましたが意外と仏教由来(^-^;
まさかこのあと後期もあるとは知らず奈良博の所蔵量の多さを感じます。
9月半ばまでなので見に行けるかな~
さすがに鹿の背に乗るお釈迦様はいなかったみたいです(笑)
奈良では神様、仏様、鹿様でございます(^^♪
by yamatonosuke (2021-08-22 23:25)
≫raomelon さん
”三昧”と聞くと美味しそうと思うのは私だけでしょうか(^-^;
もしかしたらシルクロード界隈では共通語かもしれませんね。
とりあえず100枚は撮りましたが全部は無理なのでその中から抜粋☆
やっぱり鹿の入った美術品は掲載しないわけにはいきません(`・ω・´)キリ
博物館のあのシーンとした空気感は大人な感じでちょっとクセになるかも(笑)
その際はまたお付き合いください(^^♪
by yamatonosuke (2021-08-22 23:26)
≫ちぃ さん
写真撮影OKに誘われて初めての奈良博☆
そして無料ではなかったので隅々までしっかり見てきました(笑)
後期入れ替えがあるほど所蔵していたことにびっくり!
国宝や重要文化財など目白押しであっちもこっちもとウロウロです(^-^;
出口で図録は販売してましたが入場料並みのお値段・・・
もちろん立ち読みすることなく見ない方向です(笑)
見返すとたしかに鹿のお顔はキリッとしてかっこいい~
のほほんとした今の表情は世を忍ぶ仮の姿なのですね(≧◇≦)
by yamatonosuke (2021-08-22 23:28)
≫ぼんぼちぼちぼち さん
そう言われる箒に見えて来ました。
でもその考えは放棄したいと思います(笑)
by yamatonosuke (2021-08-22 23:29)
必ず鹿が出てくるのね(苦笑)
すごいなぁ。
by caveruna (2021-08-28 16:03)
≫caveruna さん
鹿のお宝があるのはやっぱり奈良ですね(笑)
ビニール製のおもちゃ鹿も1000年後はお宝かも~♪
by yamatonosuke (2021-08-28 23:33)