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大和郡山市にある遊郭建築が”町家物語館”として一般公開☆ [奈良・旅行]

奈良県大和郡山市の旧城下町の一角。


JRと近鉄の郡山駅間にある洞泉寺町で、


大正13年(1924年)に建った遊郭がこのたび耐震補強完了。


1月10日より”町家物語館”として生まれかわり、


一般公開されたということでさっそく行って来ました[ぴかぴか(新しい)]


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それは細い路地を歩いているとドーンと出現!


そびえ立つ”元・遊郭”は当時では珍しい木造3階建てで、


当時はいま以上に華やかで目立っていたことでしょう。


ちなみに町家物語館の延べ床面積は591平方メートル。


大和郡山市は遊郭の歴史も人権教育を語り継ぐ場として、


空き家となっていたのを8700万円で買い取ったそうです[るんるん]

通りに面した窓はすべて格子で覆われていて、


玄関の左側が”娼妓溜”といわれた娼妓(遊女)が控えた場所。


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いわゆる顔見せも最初はあったそうですが、


途中からは玄関入ってすぐの左手に写真が飾られるスタイルに。


もちろん今はその写真も今は撤去されています。


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では玄関から入りますが”町家物語館”の入館は無料。


それだけでなく係りの人がタダで案内をしてくれます。


では説明を聞きつつ写真を撮りながら見学スタート[ぴかぴか(新しい)]


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帳場が玄関入ってすぐのところにあり、


家具や窓も当時のままで埋め込まれたガラスも大正時代のモノ。


言われてみると少し波打っているようなガラス窓なのが分かります。


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先ほど外からみた娼妓溜の中はこんな感じ。


扉を開けようと試みましたが、


ビクともしないので格子越しの外は見ることは出来ず。


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部屋にはメニューも展示されていましたがいつの時代かは不明。

(※大正13年開業~昭和33年廃業)


花代の相場はよく分かりませんが、


酒に比べて珍しい飲み物だったのかビールがかなり高いのが面白い[るんるん]


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では2、3階にある客間へと係りの人について行きますが、


この階段にも人それぞれいろんな想い詰まっていると思うと・・・


ゆっくり嚙み締めるように階段を上がります


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階段を上がりきったところには木で細工された窓があります。


今は電球が通路を照らしていますがそれでも通路は薄暗く、


ガス灯だった当時は貴重な窓だったことでしょう。


そして窓から見える建物はオーナーの居住棟で廊下で繋がっています。


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娼妓が髪を整える髪結場からは、


ハート(当時は桃尻と呼ぶ)の形をした窓が3つ並んでいます。


今では珍しくもないハート型の窓ですが、


大正時代にはかなり個性的な形だったのでは?


これも遊郭独特の造りかもしれませんね。


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廊下を挟んで一人一人割り当てられた客間が並びます。

(2階と3階に8部屋ずつ)


鉄道のアクセスが良くなった大正後半以降は、


大阪からもたくさんの客がやってきて一層栄えたそうです。


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客間はほんの3畳ばかりの狭い部屋で、


息苦しさすら感じる部屋は当時の面影はなく殺風景。


しかし間違いなくここで生きた人生もあるわけで、


そう思うと生きるのに必死だった時代だったことが偲ばれます。


もちろんテレビなんてない時代なので、


客のいない時はどうやって過ごしていたのかも気になるところです。


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調度品に家具類などは当時のまま保存。


ずっと使われていなかったおかげか思ったより綺麗な状態で、


開けてみましたが引き出しもまだまだ現役です。


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格子の隙間からは外の様子が見てとれます。


娼妓たちもここから往来する人々を眺めていたのかな?


四季の移り変わりをここから感じていたことでしょう。


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3階は見れないので1階へ案内され中庭へ。


井戸と植木と簡素ですが趣のある造りです。


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中庭から2階と3階の客間を見上げますが、


ここから眺める建物は豪壮さを感じる反面どこか物悲しさも・・・


ちなみに遊郭廃業後は下宿業に転じ貸間として利用されたそうです。


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こちらは12畳からなる大広間ですが、


係りの人の話によると一番お金が掛かっている場所だそうで、


床の間の一枚板から梁の細工?など近代和風建築の数々が現存。


昔は便所床の一部がガラス張りで金魚も泳いでいたそうですよ。


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1階にあるオーナーの部屋には昔ながらの金庫があり、


驚いたことに開けてみると百円札が入ってました。


ビールが六拾銭なので今でいうと10万円札!?


間違えて破ってはいけないので慎重に金庫にそっと戻します。


18.jpeg


当時のままの下駄箱もそのまま置かれていました。


そして実際の名前を目の当たりにすると、


ここで必死に生きた人生を思わずにはいられません。


これにて”町家物語館”の見学は終了となりますが、


遊郭の歴史を肌で感じる一種独特な雰囲気がアリアリでした。


19.jpeg


玄関には大和郡山市の名物でもある金魚が将雅に泳いでいます[ぴかぴか(新しい)]


耐震補強までして一般公開するのは珍しいことだと思うので、


興味のある方は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。


<おまけ>


20.jpeg


6軒あった遊郭の一つは町屋エステサロンになっています。


とても中が気になり行ってみたいですが女性限定なのかな~~


【町家物語館】


開館時間  9時~17時(入館は16時30分まで)


休館日   月曜日(祝日の場合は開館し翌平日が休館)

      祝日の翌日・年末年始


入館料   無料


住所    奈良県大和郡山市洞泉寺町10




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コメント 18

ぼんさん

大正時代にハートの形、確かに当時としてはとてもモダンな感じだったのでしょうね(^・^)
by ぼんさん (2018-01-29 07:38) 

ニッキー

木造3階建て、この時代にはとても珍しいでしょうねぇ(°_°)
ちゃんと耐震補強までして無料で開放してくれた上に
ボランティアの方までいらっしゃるなんて
「町家物語館」素晴らしい取り組みですね*\(^o^)/*
by ニッキー (2018-01-29 07:59) 

チャー

町家物語館 素敵〜日本家屋の味が存分に、出ていますね 木の香りが漂ってきそうです
ハート 桃尻 艶かしく 当時を連想しますね
by チャー (2018-01-29 10:35) 

majyo

子供の頃、
ここはなあに?と母に聞いたのが、準遊郭に近い建物でした。
今から20年前まで残っていましたがもうありません
こちらは本当にそのままの形で現存されているのですね
拝見するだけで、往時をしのぶことができます。
貴重な建物拝見させていただきました。近くなら行ってみたいです。

by majyo (2018-01-29 11:48) 

ミケシマ

近代の町屋建築、好きです
特に 現在は建てるのが難しい木造3階建てはとても貴重ですね
シンプルで合理的な現代のたてものに比べ
当時の建築は(特に町屋のたてものは)
建具や照明など細部にまでこだわりがあって素敵ですよね
円く抜いた窓や桃尻(!!)の窓も、今の感覚でも新しい!そしてなんていうかな 粋な感じ
いまこういう建物を建てようとすると おそろしくコストがかかるんでしょうねぇ
こちらの遊郭にもきっとさまざまなドラマがあって…
そういうひとの「思い」を受け止めた町家物語館°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
また奈良で行ってみたい場所が増えました♬
by ミケシマ (2018-01-29 13:06) 

caveruna

昔の建物がこうして残されていることに感謝ですね!

by caveruna (2018-01-29 13:55) 

いっぷく

どの窓にも格子がはまっていて
監獄のような印象を受けました。
下駄箱の名前がなんとも物悲しい感じです。
by いっぷく (2018-01-29 20:45) 

tai-yama

遊郭でサイダーが頼めるとは・・・お酒飲めない人様かな?
午前中に行くのがお得みたいですね。
by tai-yama (2018-01-29 23:32) 

ゆうのすけ

歴史的にも重要な建物ですものね。
維持費は大変かもしれませんが 何時までも残しておいて
ほしいですね。中庭が風情ありますね。☆彡
by ゆうのすけ (2018-01-30 00:23) 

yamatonosuke

≫ぼんさん

当時ではかなり珍しいモノだったのではないでしょうか。
これを見たさに通った人もいたかも(^^♪
by yamatonosuke (2018-01-30 22:53) 

yamatonosuke

≫ニッキー さん

上にただ積んだだけのような、
マンションのような木造3階建てでした(^^♪
大和郡山市のこれから新名所になるかもしれませんね。
ちなみにすぐ近くには金魚の入った電話ボックスがあります~
by yamatonosuke (2018-01-30 22:56) 

yamatonosuke

≫チャー さん

近代建築の趣が感じられる建物でした。
なんだか当時にタイムスリップしたかのよう(^^♪
by yamatonosuke (2018-01-30 22:58) 

yamatonosuke

≫majyo さん

お母さまは返答に困ったことでしょうね(笑)
遊郭は歴史的にも暗いイメージがあるので、
未来に残そうとあまり思わないのかもしれませんね。
なかなか無料で入れる遊郭跡は全国的にも珍しいのではないでしょうか。
ぜひ大和郡山市へお越しください。
by yamatonosuke (2018-01-30 23:03) 

yamatonosuke

≫ミケシマ さん

歩くときしむ階段や廊下の音もどこか懐かしさを感じ何とも言えません。
おそらく平屋建てが主流の時代に3階建てなんて、
周りから見ると不夜城に見えたことでしょうね。
タイムマシンがあったら絶対ここ来てみたいです(笑)
おっしゃるようにいろんな人それぞれの「思い」があって、
けっして明るくはないドラマ・・・
税金を投入して保存する大和郡山市はいろんな意味でスゴイと思います。
すぐ近くには金魚の入った電話ボックスなどありますので、
奈良を訪れた際はぜひお立ち寄りくださいね(^^♪
by yamatonosuke (2018-01-30 23:11) 

yamatonosuke

≫caveruna さん

全国各地に遊郭跡は数あれど、
耐震補強して一般公開するのはここだけではないでしょうか。
まさか営業再開はないと思いますが・・・
by yamatonosuke (2018-01-30 23:13) 

yamatonosuke

≫いっぷく さん

監獄的な印象も確かに受けました。
そして下駄箱の名札も生々しくて感慨深いものがあります。
by yamatonosuke (2018-01-30 23:15) 

yamatonosuke

≫tai-yama さん

しかもサイダーのほうがお酒より高いのが時代ですね~
行くなら午前中が良さそうです(笑)
by yamatonosuke (2018-01-30 23:18) 

yamatonosuke

≫ゆうのすけ さん

これからの社会の空気次第ですね。
個人的にはしっかりと受け継いでもらいたいと思います。
中庭は夕暮れ時だったこともありとっても静か☆彡
by yamatonosuke (2018-01-30 23:21) 

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